1年単位の変形労働時間制
事前に1年のうち特定の期間が忙しいことが予測できる場合などは、この「1年単位の変形労働時間制」が適しています。
この制度は、1年という対象期間の中で、平均して週40時間労働制を実現できればよいものです。
但し、実施するには一定の要件を満たすことが必要です。
対象期間については、1年単位とありますが、これは最長が1年であるということであって、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月など1年以内であれば可能です。
(1)1年単位の変形労働時間制の実施要件
イ.労働時間の長さの制限
@対象期間における所定労働時間の総枠
1年以内の一定の期間を平均し、1週間当りの労働時間が40時間(特例措置対象事業も同じ)を超えないように定めることが必要。
そのためには、対象期間中の所定労働時間の合計を次の計算式による時間内に収めなけらばなりません。
40時間×対象期間の暦数
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これによって計算すれば、対象期間において所定労働時間として設定できる総枠は、次のとおりとなります。
| 対象期間 | 所定労働時間の総枠 |
| 1 年(365日) | 2,085.7時間 |
| 6ケ月(183日) | 1,045.7時間 |
| 4ケ月(122日) | 697.1時間 |
| 3ケ月( 92日) | 525.7時間 |
端数はそのままとするか、切捨てる必要があります。)
A1日及び1週間の労働時間の限度(労基則第12条の4)
1年を平均して1週間あたりの労働時間を40時間以内に収めたとしても、特定の日の所定労働時間が14時間とか15時間になったり、特定の週の所定労働時間が70時間となったりしては、労働者の健康や生活支障がでてきてきます。そこで、1日10時間及び1週52時間といった限度が設けられています。
しかも、対象期間が3ケ月を超える場合、この限度時間まで利用できる範囲には制限があります。
次の両方の条件を満たすこと。
T.対象期間中に、週48時間を越える所定労働時間を設定するのは連続3週間以内。
U.対象期間を初日から3ケ月ごとに区切った各期間において、週48時間を超える所定労働時間を設定した週の初日が3日以内。
ロ.対象期間中の労働日数の限度
対象期間が3ヶ月を超える場合、原則として1年当り280日。
ハ.労使協定の締結及び届出
T.就業規則その他これに準ずるものに定めること
U.労使協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ること。
ニ.労使協定で定める事項
T.対象労度者の範囲
新入社員、中途退職者など対象期間の一部のみ勤務する労働者も対象にできますが、この場合勤務した期間を平均して1週間当り40時間を超えたときは、その超えた時間について割増賃金を支払う必要があります。
U.対象期間
1年以内であることが必要。ただし、時に業務の繁忙な期間を特定期間として定めることができます。この特定期間は、連続して労働させる日数の限度に関係があります。
V.対象期間における労働日と各労働日ごとの労働時間
対象期間を平均して1週間の労働時間が40時間以下となるように、上記イのAの日及び週の上限時間に注意して定めるおとが必要。
W.有効期間
1年以内とすることが望ましいとされています。
X.対象期間の起算日
変形労働時間制を実施する最初の日を定めます。
ホ.連続して労働させる日数の限度
連続労働日数の限度は、特定期間を除き、6日です。
特定期間における連続労働日数の限度は「1週間に1日の休日が確保できる日数」です。つまり、最も長い連続労働日は12日になります。
(2)1年単位の変形労働時間制の具体例
例えば、1年の業務で繁忙期が6月、7月、8月であり、閑散期が2月、4月である場合という場合には、年間カレンダーによって所定労働日と各日の所定労働時間を定め、年間業務のピ−クに対応した形での1年単位の変形労働時間制を実施することが考えられます。